story5ボックスガレージの活用法
そして私たちは、このボックスガレージ付き新築戸建を購入することに決めた。引越し後すぐに友人を招待してホームパーティーを開催したことは言うまでもない(ドライバー役の友人も結局お酒を飲んでしまったので、数日間ガレージ内に彼の車が置きっぱなしにされていた)。
私の両親も見学がてら遊びにきた。ゴルフ好きの父親は「ガレージの中にネットを張って練習場にしたらどうだ」と言う。母親は母親で「お料理教室を開いたらどうかしら」だ(水道や電気の都合もあるし、さすがに無理だろう)。
私も車好きを自負しているが、お隣さんはさらに上を行く猛者だった。オプション工事で設置されたリングシャッターの奥に、軍用車そのもののハマーH1がどっしりと鎮座し、こちらに睨みをきかせている。
お隣のお隣さんはマリンスポーツが趣味らしく、休日はサーフボードの手入れに余念がない。まあ、ここまでは想定内だったが、ある日ガレージ内にジェットスキーが運び込まれたときはさすがに驚いた。
反対側のお隣さんはお子さんが双子で、2人乗りのベビーカーがガレージの隅に置かれている。反対側のお隣さんのお隣さんは入口部分をパネルで覆い、倉庫として使っているようだ。
みんな、いろんなボックスライフを楽しんでいる。
家を買うというのは、昔も今も人生の一大イベントには違いない。たまたま私は1軒目でピンとくる家に出会ったが、多くの人がいろんな物件を見ながら、最後はそれこそ清水の舞台から飛び降りる覚悟で契約書に判を押すのだろう。
ただ、今回感じたのは家を買うのが一大イベントであるのは変わりないけれど、その先のほうがもっと大事なのだということだ。
厳密に言うと、家を買ったのではなく、「暮らし方」や「楽しみ方」や「生き方」を買っていて、それを手に入れることができたからこそ満足するのだと思う。
そういう意味では、私たちは「ボックスガレージ付きの家」を買ったのではなく、「家付きのボックスガレージ」を買ったのかもしれない。
100家族いれば、100通りのライフスタイルがある。家族構成や趣味、持っている家具もそれぞれ違うはず。食べ物や洋服にこだわるように、家にももっとワガママを言っていい。家にライフスタイルを合わせるのではなく、ライフスタイルに合った家を見つければいいのだと思った。
自分が本当に好きなものに囲まれて暮らすほうが、ずっと楽しい。我が家にもまだ「伸びしろ」はある。この大きなハコを使って、もっともっとおもしろい人生を送っていこうと思う。